亀とカバ

　我が家の台所には、亀とカバがいます。北向きの台所で、昔風の大きな窓があるのですが、その窓の手前がタイル張りの棚になっているので、まな板やボウルやバットの置き場に丁度良い具合です。この棚に、例の亀とカバが仲良く並んでいるのです。

　樹脂製で手の平に乗るサイズの小さい２頭は、向かい合わせに見つめ合い、時々、鼻づらを突き寄せて話でもしているかのようです。何という事はなく、水仕事をしながら私がちょいちょいポーズや位置を変えて楽しんでいるだけなのですけれども、このオモチャの２頭は結構おしゃべり上手なのです。家事が少しでも楽しくなればという願いで窓辺に置いて使ってみると、期待以上に物語性が豊かで、以前から可愛がっている鉢植えのシノブを据え付けた途端に、そこがオアシスの一角か、アマゾンの水辺のように見えて来るから不思議です。良くできた造りで、彩色も忠実で、皮膚の皺から目の輝きまで活き活きとして素晴らしい。

　このところ、メキメキと「男の子度」を上げて来た息子達の為に、今度はティラノサウルスでも加えようかしら、と思い巡らしてみたのですけれど、新生代みたいな光景になるよね、と子供以上に無邪気に喜ぶ母なのでした。