あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

鬼の居ぬ間

 母が、男子に威厳をもって叱る行為は難しいものです。人の心根を見計らう能力が培われて来る頃には殊更なのかも知れません。家庭の「重し」としての「父役」も、我が家では母である私がしなくてはなりませんので、知恵が回り始める月齢の子等には、今一つ貫禄不足ではあるようです。

 私が幼かった頃、怒り心頭に達した母親が切り札として出してくる「お父さんに言うからね」は、腹にズシンと響く恐ろしさをもたらしました。父に知れたからと言って、即座に打擲されるわけではなかったにしろ、母から父に伝わる私がしでかした悪事と、その事によって後々に私の頭上に落ちるかも知れない「雷」に、高だか知れた子供の負けん気などは容易に蹴散らされたものでした。

 昭和生まれの私には、やはり、父は畏怖すべき存在でした。母と言う敷居のそのまた奥に、どっしりと腰を据え付けている閻魔様のような荘厳さがありました。小柄で、華奢で、神経質で自由人の、一見、好々爺然とした父でしたが、何かこう、現在の「パパ達」のような接しやすい存在ではなかった記憶があります。

 今年は父の7回忌です。神様は時々、気性の激しい鬼の姿で悪い子を懲らしめるとか。遠い父の背を想います。