あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

「ぱれ部」活動日誌(『あかりの森’s bog』課外活動報告記):山中湖温泉(忍野八海→ホテルマウント富士→富士急ハイランド)8/18・19 後半 

 旅の印象を大きく左右する要因の一つに宿泊施設の充実感があると思っています。山中湖のバス停からホテルのシャトルバスに乗り込み、我々一行は乗り合わせた中国人家族と共に今回の宿泊先である「ホテルマウント富士」へ向かいました。木立深い斜面をグイグイ登る大型バン。そして到着した先は、富士の裾野と山中湖が一望出来る絶景の地。

 下車した途端に解りました。「空気が違う」という爽快感。夏を通り過ぎて清々しい秋がやってきたような錯覚。

 ホテルの評価は総括すれば我が家なりには星5つ中、星4つでした。施設は綺麗に保たれておりますし、ホテルマンの方々の対応も失礼がない程度にスマートでありました。繁忙時期であるという事を考慮すれば、まずまずであろうかと思われます。私達が選択した宿泊プランは大人2名子供1名の洋室で、食事はバイキングでした(ちなみに次男はカウント無しの添い寝にしておりました)。通された部屋はビジネスホテルを少し豪華にした雰囲気です。大人用のベッド2台とエキストラベッド(ソファを組み立てたもの)1台で客室はいっぱいです。幼い子供連れの「どこでもあるある話」なのでしょうけれど、まず入室してから、必ず始まるスプリングベッドでのトランポリン。興奮した長男が、並んだベッドで飛び跳ねれば、次男は次男でシーツを床に引きずり下ろします。その内、2人して枕の投げ合いが開始されまして、きちんと整理されていた部屋は瞬く間に修羅場となりました。たまの無礼講、これは目を瞑るにしかず。

 食事は、夕食・朝食共にダイニングでのバイキング形式を選びました。そもそも部屋食という選択肢が予約時には存在しなかったのですが、仮に部屋食が選べたとしても、やはり子供が小さい内(寝転がる事しか出来ない赤ちゃん時期は除く)は、バイキング形式が適当であるのだと思います。「家族でゆっくり部屋食で」は、ある程度子供が成長してからこそが醍醐味なのでしょうね。我が子に食べさせつつ、しかも好きな物を選ばせつつ、係員の方々のサポートもある方が実は心強かったりすると思います。

 さて、このホテルの総合点を引き上げているのが、なんと言っても「眺望」です。フロントが3階にあるこのホテルの大浴場は2階と地下1階にあります。おすすめであるのが「はなれの湯」と名付けられた2階の露天風呂。脱衣所から一足踏み出せば、そこに広がる富士山の絶景。洗い場から湯船までは黒御影の床、7歩歩いて湯船、湯船の先は間仕切りもガラスもなく、ダイナミックに開け放たれた先にはまるで覆い被さって来るほど近く見える富士山の勇姿。夕暮れには早い時間帯に入浴したので、空一面透き通る水色の泉に、桃色のインクをしたたらせたような見惚れるほどの美しさ。湯船に浸かっていても外気が流れ入って来る為、全く湯あたりもせず快適です。一瞬ごとに移り変わっていく絶景絵巻に一日の疲労感と共に時間までもが押し流されていくようでした。

 ちなみにこのホテル、別棟には室内プールも完備です。水着、帽子着用でありましたが、宿泊客は無料で使用出来ます。オムツをはいている次男は見学のみで、長男と主人は宿泊中に2度、楽しみました(大柄な主人が泳いでいると、本当にセイウチの行水のようで、なんというか、まあ、ご想像下さい)。

 旅程2日目はシャトルバスで再び山中湖のバス停まで送っていただき、富士急ハイランドへ向かいました。7月から入場料無料になったらしいですね。入り口ではセキュリティの為に未就学以上の人は残らず顔認証システムに顔をかざす必要がありました。これはアトラクションごとに必須で、乗り物に乗るごとに認証作業があります。

 場内は案の定、大盛況でした。近隣からも遠方からも大勢の遊興客が訪れており、どのアトラクションも長蛇の列。それでも有り難かったのは、気温が低かった事でしょうか。木陰に入れば、気持ちよく過ごせましたし、あちこちに飲食施設がありましたので(混雑していましたが)食いっぱぐれる恐れもありませんでした。

 私自身、幼い頃の旅行と言えば、父母、弟と共に寺社仏閣、旧跡めぐりに始終していました。昭和のお話ですから今ほどメジャーな商業施設も少なかったからかも知れません。父母が西国三十三カ所巡りに凝っていた事もあり、子供ながらに名前も知らない山寺の参道をひたすら歩いたり、いかめしい仏像を見上げたり、やたらと静かな美術館で気まずい思いをしたりした思い出が多いです。自殺名所の断崖絶壁、幕末の名士の屋敷、柱の基礎しか残されていない城跡など、当たり前の事ですが騒ぎたい盛りの子供には、かなりシュールな旅行でありました。しかも、父母が選ぶ宿泊施設は有名旅行会社のおすすめの宿でしたから、子供がワラワラと過ごして良いような宿は少なかったです。中庭には枯山水があって、廊下の隅には本物の生け花が活けてあるような凜としたたたずまいの老舗旅館であったりしました。今なら笑い話にもなりますよね。子供には、その体中に溜まったエネルギーを発散させるような旅行が、お似合いなのかも知れません。

 旅行の終わり。富士急ハイランドには富士急行線が直結しております。出口のゲートをくぐれば、目の前は大月駅行きの電車のホームになっているのです。遊ぶだけ遊んで下りの電車に乗った頃には辺りはもう夕暮れの気配。ああ、今回も楽しい旅行だったね、と快いため息を吐いたのもつかの間。

 「あれ、ねえ、旅行鞄、どこやった?」

 さっきコインロッカーから取り出したはずのキャリーバッグが見当たりません。電車は満席、我が家は扉際に立ちながら互いに顔を見合わせます。

 「あ、置き忘れて来た」

 「マジか」

 ということで、主人は一駅越した駅で電車を降りて富士急ハイランドへ逆戻り。私と子供2人は大月駅で主人を待つ事になったのでした。主人が私達に追いつく頃には辺りはとっぷりと夕闇に包まれており、長男も少しグッタリ。

 無事合流を果たした私達は、乗り継ぎの為に連絡通路を上っては、降りて、別のホームへ。これでようよう一直線で最寄り駅に帰られると安堵をしたのですが、ここでまた主人がやってくれました。

 「あれ、ねえ、子供達のお出かけセットが入った鞄は?」

 「え、お前が持ってたんじゃなかったの?」

 「……マジか」

 お出かけセット入りハンドバッグをまたしても喪失。

 「乗り換え切符、買う時、持ってたよね」

 私が主人を問いただすと

 「そうだったっけ」

 なんとも情けない返答。仕方が無いので、次男を胸に抱いたまま私が窓口に走ると。

 有りました。

 駅員室に届けられた、持ち主不明のハンドバッグが。

 「念のために身分証明書をご呈示願えますか」

 免許証を見せて、バッグを返却していただきました。最後の最後まで、何故かドタバタの我が家。バッグを手元に取り戻せて、主人達が待つホームまで帰った時にはすでに電車の出発時刻の5分前でした。危機一髪。

 「お前が持ってると思ってたから」

 主人の言い訳を聞こえなかった事にして、家族揃って特急電車に乗車です。どこもかしこも人、人、人。指定席も満席で大変でしたが、また奇跡的にも自由席にて座席確保に成功。お盆休み最後の締めくくりに、いろんな意味で思い出が詰まった旅行になりました。