つらつら語り ※方言注意

子供等と

一緒におったら

繰り返しの毎日のようで

ほんまは同じ毎日なんて

無いんやって気付くんよな。

定点カメラってあるやんか。

一か所に止め付けたカメラで

時間を追ってずーっと一場面を

撮り続けるやつ。

工事現場とかに、

ようあるんやけど。

私の眼ぇってな、

子供等を観てる時、

定点カメラみたいになっとるねん。

明方、

次男が布団の中で

うにうにし始めて、

喉乾いて、お乳ねだるんから

私等の一日が始まるねんな。

そのうち、長男が

物凄い寝相で寝返り打って、

壁際で頭ぶつけて起きるんよ。

主人はもうその頃には仕事に出掛けて

おらへんから、

長男が

「おっとーは？」って、

眠い目でお父さんを探すねん。

私が次男抱きながら

「お仕事行ったで」って言うたら

「ふーん」って

納得したような寂しいような顔で

起き出してリビングに向かう。

ルーティーンみたいな毎日やろか。

ちゃうねん、ほんまはね。

掛布団を無意識で踏まへんようにして歩いてる

長男の心遣いとか、

お兄ちゃんの大事なおもちゃを

お兄ちゃんに怒られへんように

こっそり選んで使ってる次男の賢さとか。

だってさ、

昨日、そんなこと出来へんかったやん。

テーブルに傷付くから

おもちゃ、乗せんとってなって言うても

二人して、悪巧みのこの顔。

おもろい事に目が無い

悪さばっかりするあんた等。

ああっ！

バベルの塔がっ！

ががーん……。

生まれたての時の、

ミジンコみたいやったあんた等がな

ハラハラするお母さんをよそに

一瞬一瞬をパンパンに膨らみながら

生きてる。

繰り返しのつまらん毎日なんて

あるわけないやんか。

お母さんは

張り詰めながら、

息を凝らしながら

あんた等を見つめてる。

嘘やんっ！

マジかっ！

びっくりするような

わくわくするような

ぴかぴかの時間を

精一杯満喫してるあんた等を

訳知り顔で観察してられるほど

あんた等のお母さんは

かしこやないしな。

ええしでもないしな。

あほな事、

ぎょーさんしたらええねん。

おもろい事、

ぎょーさんしたらええねん。

この世で起きた事は、

大概、

この世で収まるねん。

明治生まれの

あんた等のひいおばあちゃんが

そう言うとった。

他所さんを悲しませる事、

他所さんに迷惑かける事、

それさえせえへんかったら、

お母さんは満足や。

どこへでも

飛び出していったらええ。

何にでもなったらええ。

お母さんはあんた等を

信じとるもん。

親バカ？

そんなん、クソくらえやろ。

かしこで、親が務まるか。

今はな、

おっとー、おっかーって

へばりついて、自分一人で

なーんも出来へんあんた等やけど、

大きくなって、

おっとーも

おっかーも

いらんようになったら、

ぽいって

ほかしたらええんやで？

一人で生きていくって、

ほんまにしんどい事やから

それが出来るようになったら

お母さん

嬉しいなあ。

あんた等の独り立ちの日。

お母さんの

「観察日記」の

終わりの日やからな。