暮らし
ともあれ、凄い嫌悪だったのだろうと想像しています。怒鳴り立てたり、あからさまな批判として反論が返って来たわけではないので、相手の苛立ちがどれほど陰に籠ったものであったかは見定められませんでした。 私のメッセージが余りに軽々しかったのが駄目で…
明らかに擦り減りながら書いている時もあり、吐き出しながら書いている時もあります。どのような形にしろ自分の内なるモノを表に放り投げる行為は、精神的な「自己」の引っ越しみたいなものだと思う事があります。内面に散らばっていた名付けようのない事象…
11月の我が家の決算は、実に惨憺たる有様でした。エンゲル係数がとんでもない数値に跳ね上がってしまったのです。PC上に作成したExcelシートで表計算をしているので、私の打ち間違いがなければ、大赤字です。二度見を通り越して「見なかった事にし…
順応性の高い子が、もしかしたら一般に言う「良い子」に値するのかも知れません。「まさか、あんな礼儀正しい子がこの酷い事件の容疑者だなんて今でも信じられません」「大人しい子で、声を荒げたのなんて聞いた事なかったよな」、事件の容疑者の評判は「い…
心を奪われる程の感動を、人は生涯に幾度くらい味わえるものでしょうか。プラスの情動が「感動」であるのだとすると、ややマイナスの情動は「衝撃」や「驚愕」と言い表せますでしょうか。喜怒哀楽の瞬間は、なだらかにも急激にも起こり得ますが、この先の人…
ゆっくり時間をかける事だけが、丁寧に生きると言う事ではありません。厳選した食材を使い、手間の入った食事を摂る事だけが、丹念な食生活とは言いません。叱らない子育てが思いやりの籠った育児ではないように、優先席を譲る事が老いた人への表敬ではない…
経験値が物を言う場面も多くあります。自分が経験した事を元にして、相手へ意見する事もあります。実体験として記憶にあるので、その体験をしている時の感情の動きや、その体験が困難を伴う物であれば、いかに克服してきたのかの筋道までを憶えている為、良…
私の台所には、相棒と呼べる3つの『神器』があります。 ヒバの一枚板のまな板、南部鉄器の鉄瓶、シノブの鉢植え。 ヒバのまな板は、とにかくカビに強く、包丁の刃当たりも真に心地良いのです。切った食材も滑りにくく、何より、香りが清々しいです。使い始…
素晴らしい事があった日も、沈むような事があった日も、ちゃんと「当事者」でいたいものです。喜ばしい事があった日は、相手のお陰を感謝していたいですし、悲しむべき事があった日は、自分を見つめ直していきたいのです。その為には、何事も、無責任でなく…
父が生きていた頃には、夏はよく桃が届きました。岡山県も山梨県も桃では有名ですが、私の故郷の和歌山県もブランド名が付くような桃が採れます。田舎から贈答用の桃が届く度、「娘に届けるのだから、別に値の張るものでなくてもいいのに」と返すのですが、…
シングルかーちゃんを続けていると、頭を抱え込みたくなる「まいったなあ」が1週間に最低5度は到来します。災難の方では、こっちの都合など関係ありません。「よっしゃこい、どっからでもかかってこんかーい」という時は平穏無事なくせに「さすがに、この…
上京してきて、まだ、なんぼも経ってへんから、余計にそない思うんやろな。東京の街は、いっつもどっかが、ドロドロに溶けた鉄みたいに動いとるんや。両目で見渡せる画面全部、脳科学で言うところの「アハ体験」みたいに、ゆーっくりと変化していっとる。 私…
時々、水蒸気爆発を起こす活火山のような私です。地底からの怒りの圧力を極限まで押し殺しているので、ドカーンっとなった折、漏れなく息子達はざわつきます。 いや「そろそろお母さん、爆発するからね」と念は押すのです。いつまでも片付かない部屋、何度言…
土塀に囲まれた庭があって、魔除けの瓦を乗せた門をくぐれば母屋が見えます。南向きの縁側を左手に見ながら、奥まった玄関の敷居をまたぐと、固く突き固められた土間があります。そのまま進むともう一つ敷居があって、鬼門の位置には台所、左に取ってタタキ…
予算の目途が立った途端、目的であった大きな買い物に躊躇する事があります。 「東京に家を建てる」と燃えていた私は、いったいどこへ行ったのでしょう。別居していても、たまに会っている主人と今までも様々な話をしてきました。持ち家を確保する事について…
「水裂いて今生(こんじょう)の鮭のぼりけり」(大串章)。 目の前の激流を、傷付きながら懸命に身をよじり、登って行く多くの鮭達は、もう二度と元来た海へと生きて還る事は出来ないのです。子孫を繋ぐ為に突き動かされている鮭には、元々そんな悲壮感など…
カウンセラーやヒーラーに必要なのは、資格や経験ではなくて、自分の中身が「ちゃんとまん丸か」を見極める勘だと思います。占い師に必須なのも、霊感といった捉えどころの無い主観的なモノではなく、実は自身の身体の隅々が穏やかな物で満たされている充実…
襟付きのシャツを好んで羽織るようになったのは、30代前半くらいからです。身に添ったシャツであれば仕事でもオフでも気にせず使用出来ます。流行に頓着しないという楽天的な性格もあるからでしょう。 今は形状記憶繊維の便利なものも多いですから、扱いの…
40歳の白髪が行き着く先は、いったいどこであるのだろうと惑います。20代の後半から、1本、2本と銀色のモノが生え始めていた私は、何となく見慣れた白髪をこの年代まで特に気にせず過ごして来ました。子供を産んでからめっきり増えたように思われたの…
パンの外皮をクラストと言います。内層部分をクラムと言います。グルメ情報が昔に比べ随分と専門的になりつつある昨今ですから、横文字を聞くだけでピンとくる一般の人も増えました。山食パンはクラムが縦に伸び、クラストは薄くなります。対して角食は目が…
家庭ごとにポリシーがあるので、それを否定するのは我が家をも否定するのと同意です。けれども私は釈然としない経験を先日の学童のお迎え時に味わいました。 1年生の息子は放課後、学童保育所へ直行します。私の迎えを待って帰宅するわけですが、その日、迎…
面倒だから、手放す。面倒だから、持たない。面倒だから、工夫する。面倒だから、大切にする。私の動機は、往々にして「面倒だから」。 ものぐさであるが故、管理や物の捜索に費やす労力や時間が惜しいのです。増えすぎて困るのが書籍だとすれば、読む頻度が…
とても残念な事がありました。 一つは、前年の秋口に苦労して治療した奥歯の虫歯がぶり返したという悲報です。近所と言う理由からお世話になった歯医者でした。手が足りていないのか、それともそれは繁盛という裏返しであるのか、予約した患者であるのに、常…
私と子供達だけの生活も、丸4カ月です。 2月末に今までの仕事を退職し、3月1日より新しい職場に入りました。 1月から通い始めた茶道教室は、私用でお休みする事もありますが、楽しくお稽古をさせていただいています。 一週間前、お茶の先生が、お庭に植…
家を買います。土地付き平屋を、私名義で買います。 東京に家を建てるというのは、簡単な事ではありません。東京に限らず、我が城を手に入れるのは、100円ショップで紙皿を買うのとは訳が違います。 今日、昼間、生まれて初めて不動産購入目的でいわゆる…
収納容量は、たぶん、嘆くよりも慣れた方が気持ちがすっきりするものなのだろうと最近思います。大きな「入れ物=物件」から小さな「入れ物=物件」に引っ越してから1ヶ月経ち、その気付きは少しずつお腹の底に収まるようになってきました。 家を建てる時、…
「お兄ちゃんだから」と言う言い方が好きではありません。先日6歳の誕生日を迎えた長男はいよいよ来年春には小学校に上がります。4歳差(学年で言うと3学年違い)の弟と、兄弟喧嘩も激しくなってきました。まだ取っ組み合いの武術大会のようにはなってい…
私が茶の湯を手習いしていたのは、およそ7年前になります。大学生の4回生の頃から始めて、東京に嫁いで来るまでですから10年と少しお稽古に通っていました。ひと月2回、表千家流の先生のご自宅で、週末の都合の付く時間にご教授願うのです。 11月の辺…
紅葉がカッと華やぎ、朝夕の冷気が身に染みるこの頃。目覚めの折、出勤の折、上着の襟を指先で立てたいくらいの気持ちになります。ついこの間、衣更えしたばかりなのに「この服装で良かったのかしら」と少し心許ない気にもなってしまいます。 以前に書き留め…
一昔前。冠婚葬祭をどのご家庭も自宅で行っていた頃、来客の為の食器やもてなしの茶器などは何でも一揃え、図柄も造りも同様のものを誂えておく必要がありました。ですから、水屋にしろ納戸にしろそういったよそ行きの器が大切に保管される場所が求められた…